認証のために、人を止めない

前回のEngineering Timeでは、

「自動化とは、人を減らすことではない」

という話をしました。

機械が得意な仕事は、機械へ。

そして、人には、人が得意な仕事をする時間を返す。

認証も、その一つだと思います。

認証のために何度も同じ情報を書く。

カードを探す。

誰かに確認してもらう。

確認した人が、さらに別のシステムへ入力する。

そうした小さな作業が減れば、認証される人も、確認する人も、その先の仕事へ早く進むことができます。

場合によっては、非接触の認証によって衛生面でのメリットが生まれることもあります。

認証は、人の行動を止めるためにあるのではありません。

人がやろうとしていることへ、安心して進めるようにするための仕組みでもあるのです。

認証は、入口になった

私が面白いと思ったのは、「顔認証」のその先でした

先日、顔認証を使った勤怠管理についての記事を読みました。

顔をカメラに向けると本人であることが確認され、そのまま出退勤の記録につながる。

もちろん、顔を見分ける認証技術そのものも興味深いものです。

でも、私が特に面白いと思ったのは、

顔を認証した、その次でした。

本人だと確認する。

そして、その結果を使って勤怠を記録する。

必要なデータが、次の処理へ渡される。

『認証』が、『認証』で終わっていないのです。

それをきっかけに、その先の仕事が始まっているのです。

「本人です」で終わらない

認証という言葉から、

「あなたは本人ですか?」

と確認する場面を思い浮かべることがあります。

パスワードを入力する。

スマートフォンに届いたコードを入力する。

社員証をかざす。

顔や指紋を読み取る。

そして、

「本人であることが確認できました。」

これまでなら、それだけでも認証の役割は果たしていました。

でも、システム同士がつながることで、認証はその先へ進めるようになりました。

たとえば、

顔を認証する。

出勤時刻を記録する。

勤怠システムへ反映する。

その情報が、その後の業務に使われる。

ひとつの認証をきっかけに、次の処理がシームレスに始まります。

認証は、単なる「本人確認」から、

業務を始める入口にもなってきたのです。

これは、ただのデジタル化ではない

紙に書いていた出勤時刻を、パソコンに入力する。

それもデジタル化です。

でも、機械だからできることは、それだけではありません。

大量の情報の中から、必要なデータをすばやく探す。

登録された情報と照合する。

時刻を正確に記録する。

その結果を、別のシステムへ渡す。

必要な処理を、そのまま始める。

人が一つひとつ確認し、記録し、転記していたら時間がかかることも、システムなら一連の流れとして処理できます。

人がしていた作業を、そのまま画面の中へ移すだけではない。

人がしていたときには難しかった速さや正確さ、その先の処理まで含めて、新しい流れをつくることができます。

そこに、自動化のおもしろさがあります。

「認証できた」の先を設計する

だから、認証システムを考えるとき、

「どうやって本人を確認するか」

だけではなく、

「本人だと分かったら、その次に何をするのか」

まで考えてみる。

勤怠を記録する。

必要な画面を開く。

その人に必要な情報を呼び出す。

次の業務を始める。

認証の結果を、その先の体験や業務につなげることができれば、認証はセキュリティのためだけではなく、その先の仕事を始める仕組みにもなります。

それは、人とシステムの間にある小さな手続きを減らし、

人を次の行動へつなぐ入口になります。

入口は、入りやすくなければならない

ただし、ここでも忘れてはいけないのは、

使うのは人だということです。

どんなに優れた認証技術でも、すべての人、すべての状況で同じように使えるとは限りません。

認証という入口をつくったのに、そこで人が立ち止まってしまったら。

その先に便利な仕組みがあっても、そこへたどり着けません。

では、どんな認証方法を選べばいいのでしょう。

一番安全な方法?

一番簡単な方法?

それとも、一つの方法だけに決めないほうがいいのでしょうか。

これは、また別の「設計」の話です。

次回、考えてみたいと思います。

Engineering Time

認証は、ユーザーを止めるための門ではありません。

安心して、その先へ進んでもらうための入口です。

そして今では、その入口を通ることをきっかけに、次の処理や業務まで始めることができます。

認証した、その先で何が起きるのか。

その人は、何をしようとしているのか。

どうすれば、そこへ少しラクに進めるのか。

「認証できた」で終わらず、その先まで考える。

そこまで設計することが、人のための自動化につながっていくのだと思います。

横山 愛子

横山 愛子

顧客支援及び運営担当

2014年1月に入社。関西外国語大学卒業後、貿易商社での勤務、オンラインストアの立ち上げ、運営、15年に亘る海外在住経験あり。幅広い視野を持って、お客様とのコミュニケーションに努めたいと思っております。