第一世代モバイル通信技術の沿革


第二次世界大戦中、初期の無線電話は軍事利用のみに制限されていて、民間利用や商業利用は行われていなかった。当時使われていたのはAM無線電話で、携帯用無線電話機として活用されていた。

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1946年にベルシステムによりアメリカで初めて商品化された自動車電話は、その後も改良を重ね、1960年代には改良移動電話サービス(IMTS)を利用して一般に普及し、これは公衆電話交換回線網(PSTN)と呼ばれる地上通信線にも接続されていたが、ある程度の携帯性が確保された。これは無線電話回線の類で、プレ第一世代、0世代技術とみなされている。

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1971年、自動車無線電話 (ARP)ネットワークが、フィンランドで初の公衆携帯電話網として開始された。150MHz帯で機能し、通話は手動で切り替えられた。ネットワークは自動車電話にも利用されるものだった。これも0世代技術と考えられた。

世界初となった第一世代のモバイルネットワークは、日本(東京)の日本電信電話公社によって1979年12月に立ち上げられた。最初の移動式電話はやはり自動車電話だったが、ネットワークとしては以下のような特徴があった。

  • 基地局と88のセルサイトを持つセルラーネットワーク、または東京全域をカバーする電波塔(ネットワークが依然としてPSTNのIMTSとは異なる)
  • 異なるセルサイト間の通話のハンドオーバをサポート(通話が1つのラジオ塔にしか接続されないIMTSとは異なる)
  • 自動切替のため、人力によるスイッチボードの操作の必要がない(通話を手動で切り替えるARPの場合とは異なる)

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1981年までには、ノルウェーおよびスウェーデンの北欧二国で、北欧携帯電話 (NMT)方式に基づく第一世代モバイルネットワークが初めて構築され、1982年にはデンマークとフィンランドがそれに続いた。この方式はサウジアラビア、ロシアほか、バルト諸国およびアジアの国々に瞬く間に広まった。

1983年10月13日、シカゴのアメリテック社により、AMPS方式に基づく商用セルラーネットワークがアメリカでようやく開始された。マーティン・クーパーが開発し、モトローラ社が製造した初の小型携帯電話が同時にお披露目となった。

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1984年にはマレーシアでNMT450方式が採用され、エネルギー郵電省(民営化されて現在はテレコム・マレーシア社)が同国初となるセルラーネットワークを構築、ATUR 450と名づけられた携帯電話と同時に発表した。

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日本ではNTTのネットワークを利用していた初期の自動車電話が、1985年に「ショルダーフォン」へと発展し、ショルダーバッグのように肩にかけて持ち運べるようになった。

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1985年、欧州トータル・アクセス・セルラー・システム(TACS、後にETACSに改名)方式が導入され、イギリスで初めて実施された。NTTによって初めて商用セルラーネットワークが開始されて以降、1988年に日本でもJTACSが導入された。

中国では、現在は最大規模の携帯電話市場を誇っているが、初めてモバイルネットワークが開始されたのは1987年で、同国郵政省がTACS方式を採用して始めたものだった。全国を網羅したのは翌年のことだった。

第一世代の電話の大半は、

  • 重量があった(最初期のモデルは3~4kg)
  • 企業や重役による利用がほとんどで、一般の人々の利用はなかった
  • 高価だった(たとえばモトローラ社のDynaTacは3,995US$)
  • 以上のような事情で、富とステータスの象徴だった

第一世代のモバイル技術の限界は、

  • 音質が悪かった
  • エリアが限定されていた
  • 通信が完全アナログモードだったため、周波数の使用が非効率的だった
  • 低容量(FDMA技術が、システム容量を最大化するものではなかった)
  • 同じ第一世代でも方式が異なると、周波数範囲が異なるため互換性がなかった
  • 異なる事業者間のローミングはサポートされていなかった
  • エア・インターフェイス上のセキュリティーが弱く、暗号化がサポートされていなかった
  • モバイルアシストハンドオーバーがないため、モバイル通信交換局(MSC)の負担が大きかった

モバイル通信技術沿革シリーズ:
第二世代モバイル通信技術の沿革
第三世代(3G)モバイル通信技術の沿革
第四世代モバイル通信技術の沿革も読む

アイ・シン・チャン

マーケティング・マネージャー

2018年4月入社。Telco Engineers にて4大陸16カ国にわたり、10以上の取扱説明書を手がけて熟練の技を磨いた。10年以上の携帯電話技術に特化した経験をもつ。情熱を持って創造する。

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