清田史和氏: エンジニアに必要なのは世界を知り、人と出会い、肌感覚で楽しむこと


今回は、XOXZOと親交のあるエンジニアをご紹介します。 紹介するのは、料理アプリ「SnapDish」を手がける㈱Vuzz 取締役CTOである清田史和さんです。

Fumikazu-Kiyota

清田さんは、サービス開発エンジニア業務のほか、家業の幼稚園やコーヒー会社の経営者でもあります。最近では、九州エリアをベースに、PyCon JPの活動も精力的に行っています。 そんな清田さんに、エンジニアのキャリア形成や、エンジニアにとって大切なことなどを伺いました。

まず、ソフトウェア開発のエンジニアになったきっかけを教えてください。

そもそも、字が下手というコンプレックスがあったんです。子供の頃、祖父がPCを使って数式を書いてグラフやパズルを作っているのを見て、 「PCって便利だな。面白そうだな」と興味が湧いたのがきっかけです。

そこからどうやってエンジニアになったのでしょうか?

10代になるとインターネットが始まりだして、パソコン通信をやりたかったけれど、お金もかかるし、そもそもやり方がわからなかった。 そこで、安いPCを買って組み立てました。当時のブラウザーはNetscapeNavigationだったと思いますが、ネットにつないでみると、 今度は「どうやって動かしているのか」が気になったんです。

その後、アメリカとロンドンに留学し、英語の勉強もかねてプログラミングの本を読みました。読んでみたら面白くて、 そこからプログラムを独学で学んでいきました。読んで、プログラムを書いて、動かす。ひたすらこれを繰り返していました。 当時はPerlをよく使っていました。使っていて面白かった。ほかにもLinuxを使ってみたり、いろいろ遊びながら学んでいきました。

そこからどうやって仕事につながったんですか?

その頃は就職難の時代でしたが、プログラムを書けるとバイトでも重宝されていたんです。 バイト先では、掲示板の作成や問い合わせフォームやショッピングカートを作っていました。 動かないものを動かせるようにするという作業が面白かったですね。人が知らないことを、自分は知っているという楽しさもありました。

就活はしていないんですね?

はい、面接が苦手なんで(笑)。バイトは潰しもききますからね。 それに、当時、ネットをやっていて「これは1000%発展するな」と感じていました。 これはやらないほかないだろうと。なので大学在学中から、ひたすらPCとネットと戯れて、週5日は仕事をしていました。

その後、忙しいところに身を置こうと思ったのと、草野球仲間の先輩の照井さんという方が当時オン・ザ・エッヂ(現ライブドア・LINE)で働いていて、 その方の誘いもあって、オン・ザ・エッヂに就職。 本当に忙しく、動きが目まぐるしく早かったですね。入ってすぐ自分でPCを組み立てたり、とにかく全部自分でやる、という会社でした。 この経験は今も役立っています。

Fumikazu-Kiyota

オン・ザ・エッヂではどんな仕事をしていましたか?

WEB開発の受託やソフトウェアのローカライズなどやりました。 アメリカに出向して、パッケージングやOSの構築などもやりましたね。 Debianを知っている人に出会ったり、新しいことをしている人たちと知り合えたのは刺激となりました。 それから日本に戻ってデータセンターでネットワークの構築などをしていましたが、「自分はWEBサービスを作りたかったんだ」と気付き、退職しました。 その後、WEBサービスを始めたいという友人を手伝いました。 サービスを走らせるためには、資金というガソリンが必要なので、まずはアフェリエイトからスタートしました。

先立つものがなければサービスは成り立たないですし、サービスを進めるには、営業もしなくてはならない。 当たり前のことではありますが、どうしても営業よりの話になってしまう。それを肌身で感じましたね。

自分も未熟でしたが、ビジョンが一致しないな、という感覚があったので、離職しました。

そこからVuzzの立ち上げに至ったのですか?

途中、顧問として技術的なサポートをする仕事もしましたが、やっぱりサービスがやりたいという思いがあり、その頃、Vuzzの代表と出会ったんです。 当時はスマホが出始めた頃で、ネットが登場したときに感じた「これは来る!」という感覚がありました。 サービスもやりたいし、アプリも作ってみたい。そこから「SnapDish」の開発へと進みました。

どんなサービスをやりたいのか、という具体案はあった?

ネット上で人が人と関わるということは、日常生活にはない、ありえないことが起こる機会でもあります。 昔は文通して遠くの人と交流していましたが、今はネットで遠いものを近くにすることができる。 その利点を活かして、きれいに使えるサービスを作りたいという思いがありました。人を騙して仕掛けるサービスはやりたくない。

あとは、自分自身が料理を作るのも食べるのも好きだし、カメラも好きなので、好きが活かせるなというところもありました。

「SnapDish」で使った言語は何ですか?

Pythonです。もともとPythonが好きというのもありますが、使いやすいし入りやすかった。 様々な言語を使ってみましたが、今は100%Pythonですね。

PyCon JPの活動もされていますね?

はい。PyConに参加してみたら面白い人達がたくさんいて、ここは勉強させてもらえる場だなと思いました。 私はPythonの良さを知っているし、かなり使わせてもらっているので、これからのエンジニアに良い仕事をしてもらうためにも何か恩返しがしたいと考え、 PyCon九州への活動をはじめました。 九州は台湾や韓国など地理的にアジアに近い。将来的には、アジアも視野にいれて活動ができたら面白いなと思っています。

人と出会うということがキャリア形成に役立っているようですね。

そうですね。そもそも、私は体系的にプログラミングを学んでいないので、やり方を探すためには人に教えてもらう必要がありました。 そこから人とやりとりすることが楽しくなりました。 今、ネット業界は新しいものが続々と登場しています。 自分だけの思考に偏り、バイアスをかけるのはリスクとなりますから、技術的なバックグラウンドのある人と意識的に会うようにしています。

子供にプログラミングを教えることについてどう思われますか?

プログラム教育には興味がありますが、英語教育のような試験のための勉強になってほしくないですね。 親としては子供がキーボードをバチバチ打っている姿を見て、「うちの子はできる」と感じるのでしょうが、 私に子供がいたら、いっぱい外で遊んで肌感覚を身につけてほしい。 プログラミング教育がどう使われるのか、学問的に成立するのかを考えると、ちょっと難しいのではないかなと感じています。 興味はありますよ。

幼稚園やコーヒー会社経営と他ジャンルと関わることで得られるものは?

業界ごとに考え方もやり方も違うことを一歩引いて見ることができる点ですね。 保育にAIは必要ないし、サービス業は、お客様がくるまで待ちます。 ひとつの世界だけで生きるのは、世界を狭めることになり、危険です。 いろいろな世界があることを肌で感じることは重要だなと思います。

Vuzzでは、バイトも含めてお昼をみんなで作って食べたり、トイレ掃除もします。 「Do it yourself testing」といって、自分でやってみて確認していくことを指導しています。

プログラミングを書くだけという人は増えていくでしょうが、今後、それだけで仕事が成り立つのか疑問です。 しっかりと生活できる力や、いろいろな世界を知っているという経験やスキルも、これからのエンジニアには必要だと感じています。

野中 哲

エンジニア・エバンジェリスト

2016年3月に入社。NECで衛星通信の制御用ソフト開発、アップルでMacOSのローカリゼーション、AppleShareファイルサーバの開発等に従事。プライベートではRuby,Haskellなどのプログラミングとラグビー観戦を好む。最近の興味はSwiftでiOSアプリを開発すること。FAA自家用パイロットライセンス所有。

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