SMSは古い技術? それでも使われ続ける理由
1992年12月3日、世界で初めてSMS(ショートメッセージサービス)が送信されました。
最初のメッセージは、たった一言。
「Merry Christmas」
それから、まもなく、34年。スマートフォンが普及し、SNSやメッセージングアプリが日常のコミュニケーションを支えるようになった今も、SMSは使われ続けています。
なぜでしょうか。
「もしもし、〇〇さんはいらっしゃいますか?」
携帯電話が普及する前、誰かに連絡を取ろうと思ったら、自宅の固定電話に電話をかけるのが一般的でした。
「もしもし、私、〇〇と申します。〇〇さんはご在宅でしょうか?」
電話をかける側も少し緊張しましたし、家族の誰が電話に出るかもわかりません。本人につないでもらって初めて、用件を伝えられました。
携帯電話が普及し、SMSが使われるようになると、この状況が変わりました。
相手の携帯電話番号さえわかれば、本人に直接、短い文章を送ることができる。
相手の都合を気にして電話をかける必要もなく、周囲に会話を聞かれる心配もありません。
「今から帰るね」
「駅に着いたよ」
そんな短い連絡が、ずっと気軽になったのです。
メッセージングの主役が変わっても
やがてスマートフォンが登場し、LINEをはじめとするメッセージングアプリやSNSが普及しました。
写真や動画を送り、グループで会話し、スタンプで気持ちを伝える。
日常のコミュニケーションは、SMSよりも多機能なサービスへと移っていきました。
一方で、SMSには変わらない特徴があります。
携帯電話番号を宛先にできること。
相手に特定のアプリをインストールしてもらう必要も、サービスへの会員登録やログインをお願いする必要もありません。
携帯電話番号がわかれば、その番号でSMSを受信できる相手にメッセージを届けられる。
このシンプルさは、今もSMSの大きな強みです。
「会話する」から「確実に伝えたい」へ
SMSの役割は、時代とともに変化してきました。
現在では、本人認証のためのワンタイムパスワード(OTP)や、予約の確認、配送のお知らせ、重要な手続きの案内など、さまざまな場面で利用されています。
携帯電話の契約時には本人確認が行われるため、電話番号は本人確認を補助する手段としても活用されています。
もちろん、電話番号だけで本人を完全に証明できるわけではありません。SMSにも、誤送信や不正利用、通信環境による制約があります。
それでも、特定のアプリに依存せず、多くの人が普段持ち歩いている携帯電話へ直接連絡できることには、大きな価値があります。
普段の会話には、使い慣れたメッセージングアプリを。
そして、相手がどのアプリを使っているかわからなくても、届けたい大切な連絡にはSMSを。
連絡の目的によって、適した手段を選ぶ時代になったのかもしれません。
34年経っても変わらないこと
世界初のSMSが送信された1992年には、今のようなスマートフォンも、メッセージングアプリもありませんでした。
それから、まもなく34年。
通信技術も、私たちの暮らしも、大きく変わりました。
それでも、誰かに短い言葉を届けたいという気持ちは変わりません。
技術が新しいことと、その技術が必要とされることは、必ずしも同じではないのでしょう。
SMSは、古い技術だから残っているのではなく、今も必要とされる役割があるから使われ続けている。
これからも、その役割は少しずつ変わっていくのだと思います。