MENAスタートアップ、トルコのテックシーンとJETRO

JETROとは日本貿易振興機構の略称で日本と他国間の貿易を振興させることを使命とする独立行政法人です。

私は10月半ばの研修旅行の通知を受けました。研修旅行の定員は20名程です。

MENA(中東・北アフリカ)スタートアップ、トルコのテックシーン、JETRO。 この3点はこれまで一度も私が関わる機会がなかったトピックでした。 また、スタートアップやトルコのテックシーンについて事前知識が何もなく、 トルコのテックシーンで心を躍らせるような発展が始まっていることにも、私は気付いていなかったのです。

私は興味をそそられたため参加申込をしました。

飛行機代とホテル代は支払う必要がありましたが、 移動や会合、開催場所はJETROが無料で手配してくれました。

RISEUP サミット

ツアーの一環としてJETROは、RISEUPサミットでのブースを用意してくれました。 私たちの製品はMENA地域をサポートしていないのですが、ブースを持つことに決めました。 私たちのブースに立ち寄ってくれたサミットの出席者と、知り合えるのではないかと考えたためです。

Xoxzo booth in RISEUP

RISEUPの参加者とその他の東南アジアや日本の大会での参加者を比べた時の大きな違いは、出席者が示す関心のレベルです。

ここの出席者はとても若く、私たちがしていることにとても興味を持って、 製品の仕組みやどんな問題のソリューションになるかについて、色々と質問をしてくれました。 Xoxzo がMENA地域をサポートしていないことは残念なことでした。 このことを話すとほとんどの人がガッカリとした面持ちで私たちに、すぐにMENAでもリリースしたら良いとも言ってくれました。 そのためこれが、今後考慮の必要があることとなりました。

ピラミッドの隣でアピール

RISEUP大会のクライマックスは「ピラミッドの隣でアピール(Pitch By The Pyramids)」 と呼ばれる、宣伝コンテストで、なんと、ギザのピラミッドの隣で開催されました。

Pitch By The Pyraminds 2019

「ピラミッドの隣でアピール(Pitch By The Pyramids)」 は、 MENA地域全土から応募した8000のスタートアップの中から選ばれたファイナリストによる、スタートアップの宣伝合戦です。 14のファイナリストが今夜、売り込みをするため選ばれていました。

「ピラミッドの隣でアピール2019」の勝者は以下の通りです。

  • TextYanzoはパーソナルアシスタントアプリを使って、 掃除をしたり飛行機のチケットをとったり、その他たくさんの事を手伝って終わらせてくれる ドバイのスタートアップ(観衆からの最多得票による勝者)
  • PayNasカイロの人事スタートアップ(ジャッジによる勝者)

そして2位に選ばれた2つの会社は以下の通りです。

  • CloudSaleはホテル業界へ食事以外の用品を提供するベイルートのスタートアップ
  • Receetはレシートを管理するアプリを提供するパレスチナ のスタートアップ

これまで個人的にいくつか売り込みイベントに行ったことがありますが、 有名なピラミッドの隣で開かれた本イベントには他とは違う雰囲気がありました。

そうそう、そして夜風がとても冷たかったです(そもそも季節は冬ですし)。 ですので風の強い砂漠で過ごすことをお考えなら、冬服を持ってくることをお勧めします。

エジプトのスタートアップ

サミットの期間中、JETROはいくつかのインキュベーターとスタートアップとの会議を開催してくれました。

スタートアップはすべて基本的に、日本の代表団への投資のための売り込みが目的でした。 日本の代表団には大きな多国籍企業からの参加者が多数いて、 MENA地域のスタートアップとパートナーになってテクノロジーや顧客基盤を利用してビジネスを拡大させることを目標としていました。

HalanはMENAで最大のスタートアップのひとつですが、 核となるビジネスは東南アジアのGrabに似た迎車アプリで、私たちが会議を行った中で最大のスタートアップでした。 核となるアプリの他にも、B2B向けにデリバリーを行っています。 プレゼンを聞く限りでは、エジプトとMENA地域には総じて、いまだにインフラ系サービスの大きなチャンスがあると理解しました。

会議をした中で他にも面白いスタートアップがありました。 Nafhamは5000万人のエジプト人と全アラブの諸国の生徒へのチャンスの門戸を開くことを目標とする、 教育系スタートアップです。 エジプトの公立学校には1教室あたり80人ほどの生徒が詰め込まれて、 Nafhamは子供にとって、しっかりした結果を出せるような環境ではないと考え、 学校が提供でき得る以上の教材を、生徒が利用できるようにしたいと考えています。

話を聞いたほとんどのスタートアップはシリーズ Pre-A、 もしくはシリーズAの出資を求めていましたが、 サンフランシスコで通常聞くようなものよりは規模の小さいものでした。

インキュベーター

インキュベーターからは、どのようにスタートアップを育成・支援するのかについてや、どのようなスタートアップを求めているのかについて簡単に説明を受けました。

あらゆるインキューベーターが高成長モデルに焦点を合わせていましたが、スタートアップの導き方には微妙な違いがありました。

MINT

お話を聞いたインキュベーターのひとつは MINTです。 MINTはエジプト最大級の銀行であるEG Bankから支援を受けているインキュベーターです。 MINTの育成・支援プログラムは非財政部門によって行われていて、スタートアップ自体には投資せず、 その代わりにオフィスやネットワークなどのインフラを提供します。 可能性のあるスタートアップが応募して選抜されると、3ヶ月間のプログラムに参加できます。 応募するスタートアップは実用最小限の製品(MVP)を持っていて、創設者の年齢は16歳から35歳までである必要があります。 プログラムの最後にはデモ日があり、自身の製品をプレゼンします。

ここで生まれたサクセスストーリーのひとつは、MINTが育成・支援した Odiggo という企業です。 MINTは自らが育成・支援するスタートアップには投資しないため、直接的な金銭的インセンティブは与えませんが、 MINTはスタートアップに協力して顧客の調査を行い、そのデータを親銀行へ渡すことにより、 スタートアップの顧客へとお返しができる新たな金融製品を開発させ、 その一方でそれらスタートアップが取引の手間を省けるようにもしています。

The Greek Campus

その他に私たちが訪問したインキュベーターは Greek Campusで、 MENA地域にある300超のスタートアップの本拠地になっています。 The Greek Campusはスタートアップを育成・支援するのではなく、自らコワーキングスペースやイベントスペースを運営しています。 現在運営中なのは4都市の5箇所で、さらに拡大させる計画が進んでいます。 特にUberとトレンドマイクロはThe Greek Campus内にオフィスを構えています。

Group photo in the Greek Campus

JICAによるブリーフィング

カイロでの2日目、日本政府と他国政府間での政府レベルでの開発支援を促す機関、独立行政法人 国際協力機構 (JICA) のカイロにあるオフィスを訪ねました。

JETROとJICAは任務遂行のため、よく協力し合います。カイロにあるJICAオフィスは同じ建物内にあるJETROのオフィスの1階上にあります。

JICAの簡単な状況説明は、スタートアップ、資金提供、ハイテク部門について具体的なことは語られず、 基本的にはマクロレベルでのエジプト経済についてと日本の産業にとって好機となるような部分についてのお話でした。

教育、エネルギー、観光、農業、医療各分野についての短いプレゼンがありました。

プレゼン後には、現在のエジプト政府はビジネスに前向きで、上記の分野により多くの外資を投入させるべく 熱心に取り組んでいるという印象を全体的に受けました。

イスタンブールへ

3日目の朝、私たちはホテルをチェックアウトし、カイロを発つ午前9:35のフライトで イスタンブールで行われる研修旅行の第二の行程へ向かいました。

本シリーズのパート2を引き続きお楽しみください: Part 2: カイロとイスタンブールでJETROと共にスタートアップについて学ぶ

イクバル・アバドゥラ

イクバル・アバドゥラ

代表者取締役

1997年に来日。佐賀大学の理工学部を卒業しヤフー株式会社、アマゾン株式会社を経て2007年に株式会社Xoxzoの前身である株式会社MARIMOREを設立。 PyCon JPにもボランティアとして活動しています。